雨宿り
P事務所に着いた時、まだ雨は降ってなかった。
しかし、ウブド方面の空が真っ黒。
『雨が来る』と焦りながら早めに用事を済まし、出ようと思った瞬間大粒の雨。
ひぇ〜〜〜〜、どしゃぶり。
『遅かった・・・』
これまでの店主であれば、カッパ着て無理にバイクで走ったはず。
足止めを食うのは、時間を損したように感じていたから。
だけど、今日は『なぜ今濡れてまで帰らなきゃいけない?』と自分に問えた。
そして、惹きつけられるように、並びの薬屋のベンチに座る。
このおばちゃんとの何気ない会話が店主は好きだ。
大きな声で一言
『Hujan!(雨だね)』
ここでは、雨が降り出すと、誰とでもこれが最初の挨拶になる。
久しぶりだったので、お互いの近況など話す。
噂話にも花が咲く。
おばちゃん
『雨はいいねー。少し涼しくなるからよく眠れる。植物も潤うし、空気をきれいにもしてくれるんだろうね。そして、雨のとき、こうして外を眺めてるのが好きなんだよ。』
確かに。面白い。
薬屋の前は、ものすごい交通量。
どしゃぶりの中でもバイク・車・人何でも変わりなく通る。
どこかへ走る犬たち
カッパ着て、ぶっ飛ばす人
黒子のように、1枚のカッパで後部でうずくまる人
どしゃぶりなのに、カッパの下にテレビを入れて運んでる人
カッパ着ないで、ずぶ濡れでもう諦めてる人
裸足でバイク乗ってる人
学校からは傘を持たずに『わー』と言いながら飛び出してくる生徒たち
傘を差して歩くカキリマ(人力移動屋台)
傘さして歩いてるのは観光客ぐらい。
ホテルの大きな傘。
目の前の光景をじっと眺めてると
『あの水色カッパおしゃれ〜』
『店主と同じカッパだ』
『オートマバイクは足を閉じてる分、濡れにくいんじゃないか』
『店主が欲しい車だ』
『あの西洋人女性、おしりだけかなり太いなぁ』
『なんで今テレビ運ぶんだろう』
なんて、みんな個性的なんだ?
映画を見ているみたいだ。
雨宿り中、バリ人L子に電話。
やはり、ペジェン方面は最強に豪雨らしい。
おばちゃんには『あんた生産性が高いね。子供は4人で打ち止めだよ』と電話で言われるL子。
そして、4−5人にSMS(携帯メール)送る。
薬屋に、店主以外の雨宿り仲間が入ってきた。
まだ濡れてない知らないおじさん
ずぶ濡れになって途中で駆け込んできた男の子
雨宿りおじさんはタバコ吸ったり、アクアを飲んだりしてる。
そして、おじさんは、カキリマが雨ざーざーの中通った時に何かを注文した。
揚げ豆腐、モヤシ、ティパット(ふかした米の塊)をチャンプルにしてピーナッツソースをかけたもの。
ほんとはバッソが食べたかったんだけど、店主もそれ食べよう。
店主も注文。
そしたら、ずぶ濡れの若い子も注文した。
そしたら、学校から出てきた子供たちも殺到。
カキリマのジャワ人、雨の中でも一気に大盛況。
見て食べたくなるという、連鎖性を持つカキリマ。
恐るべし。
消費者心理ついてるよなぁ・・・。
そして薬屋のおばちゃん、お水をくれた。
ただで。
雨宿りさせてもらってるのに、水をくれるなんて。感涙
雨がかなり小降りになったので、カッパ着ないで店主帰ることに。
おばちゃんには、お礼も込めてビタミンCを大量に大人買い。
バイクをゆっくり走らせながら思った。
『雨宿りの1時間、店主は時間を損しただろうか。』
たまに、立ち止まることも必要なのかもしれない。
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