メグロヒヨドリの子育て観察
(長文です。鳥好きさんのために)
専門は水中ですが、コロナ休業中のお陰(?)で、野鳥の子育てを庭でじっくり、毎日観察することができたので記しておきたいと思います。バリ島は野鳥が多いですが、普段あまり気にしたことはありません。今回、自宅で観察する機会があり本当に幸運でした。
7月16日(1日目)
ワヤンの出勤日で彼女が帰る間際、玄関先の庭で話をしている時、二羽の野鳥つがいが木の高いところから降りてきました。
人間二人と猫一匹の前で、すぐ近くの低い茂みに入るなんておかしい。
えっ、もしかしてと思って茂みの中を覗くと、巣を発見(直径10cm)。
すごい立派な巣を作ってたのか~、気づきませんでした。
裏庭の木の高いところでは、たまに鳥が出入りしている気配はありますが、こんな低い場所は初めて。
地上2mぐらい?手を伸ばせば届きそうな高さ。
しかも巣の1m下は、猫ぽんちゃんの昼寝場所。
これは困りました。
この大胆な行動は、恐らく卵を産むためだったのかなと勝手に思っています。
たくさん家が並ぶ中で、ここに巣を作ってくれたことに何だか嬉しくなりました。
しばらく卵を温めるだろうから、ぽんちゃん対策は卵が孵化するまでに考えなくては。
鳥が茂みに入っちゃった。えっ、そこ?笑
巣だ!
これまでは、よく見るきれいな声の野鳥という認識でしたが、メグロヒヨドリ(Yellow-vented Bulbul、スズメ目ヒヨドリ科)ということがわかりました。東南アジアの森林ではなく耕作地に多く分布するそうです。
この日からメグロヒヨドリ夫婦が巣を守り始めます。
そして店主は、ぽんちゃんが近づかないように猫追いスタート。
調べてみると、あまり高いところは大きな鳥に狙われるので危険。なので、あえて人のいる庭などに巣を作ることが多いそうです。民家ならヘビとかカラスとか来ないですし。賢いですね。
いつも一緒の親鳥。これ絶対にしゃべっていますよ。
7月20日(5日目)
ワヤンと巣の周りにバリケード張りました。
ぽんちゃんごめんよー、しばらく違うところで昼寝してね。
うーん、近すぎる。そこも寝られないよう封鎖するね。
7月21日(6日目)
乾季のはずだけど、明け方結構な雨。
今回は軒下じゃないので、心配してしまいました。
後から知ったのですが、夜は母鳥が巣で寝るんです。
きっと卵も冷えることはなかったはず。
7月22日(7日目)
そろそろ孵化かな・・。朝ダイビングへ行く前に巣を下から覗くと、小さな赤いものが動くのが透けて見えました(生まれたてのネズミの子のような)。
生まれたかも!!
ワヤンが巣を覗こうとずっと提案していましたが、店主が毎回却下。
見てしまうと愛情が移るのが怖かったのかもしれません。この1週間は卵を温めるために、たまに捕食に出かける程度でしたが、この日を境に親鳥は餌運びに大忙しです。いつもつがいで行動です。完璧なバディ行動!3分~5分に1回、何か運んできます。母鳥がゆっくり慎重に近づき餌を巣に運びます。その間、父鳥がちょっと離れたところでずっと警戒を意味する鳴き方。見ている店主たちの気を父鳥に惹きつけるためなのでしょう。
7月25日(10日目/生後4日目)
ワヤンが「ヒナの口ばしが見えた~」と言うではありませんか。ほんとだ!下からですがちょっと見える。
もう我慢できない。脚立を出して、初めて巣を覗いてみました。
小さいですがヒナ2羽!!
まだ目が開いておらず、巣に振動を与えると、自動的に口が思いっきり開いて2羽揃ってぶるぶる。かわいい~。
即効、網戸用ネットを買いに走りました。
巣から落ちても大丈夫なように。
そしてぽんちゃんバリケードもより厳重に。
木登り大好き。
脚立を出してしまったので、写真や動画を撮り放題。
近づくと、親鳥にかなり威嚇鳴きされます。
怖いので、親が巣を出た後を狙います。
結構遠くからも見えているようで、飛んできてぶち切れされます。
7月26日(11日目/生後5日目)
ヒナたちの目が開きました。
そして、かすかに鳴き声を出せるようになりました。
餌を運び続ける親鳥は大変です。時々親鳥にバナナを差し入れ。
朝から薄暗くなる18:00までずっと運び続けます。
夜、巣を覗くと、母鳥が巣で寝ます。ヒナにかぶさってる。母強し。
昼間はめちゃめちゃ警戒して絶対に近づけないのに、夜はどんなにカメラを近づけても動きません。
鳥は夜になると目が見えないと言う人がいますが、そんなことはありません。見えているようです。鶏だけ?
鳥の視力はすごくて、昼間は10mの高さから地上の米粒大が見えるそうです。
7月27日(12日目/生後6日目)
声もしっかりしてきた。
7月29日(14日目/生後8日目)
ヒナたちの成長は早い。
毛がどんどん生え、着膨れなのかふっくら鳥らしくなってきました。
巣に振動を与えても、口を開けなくなりました。悲しい。
母鳥じゃないと認識できるようです。
人間の人見知りみたいなものが突然始まりました。
7月30日(15日目/生後9日目)
いつも通り巣を覗いたところ、ヒナの1羽が巣を飛び出て3mぐらい離れた木に止まちゃった。
ひえーーーーーーっ、まずいっ。
そろそろ巣立ちかなと思っていましたが、ついに巣を出ちゃった。
これが飛び出ちゃったヒナ
でも、親鳥見ていないとまずいでしょ。親はずっと君を探すだろうし。
戻った親鳥に発見されましたが、ずっと巣から離れたまま。
親は離れたヒナにかかりきりで、巣のもう1羽まで手がまわらず・・・。
また時間をおいて見に行くと、数分待っても親鳥が全然来ない。
巣を離れたヒナもいない!
親鳥のけたたましい声が道路を渡った向こうの地上から聴こえる。
まさか・・・道路を渡り向かいの屋台前パーキングでうずくまるヒナを発見。
よく車やバイクに轢かれなかったな。この屋台は猫も数匹います。
店主が行くと親鳥は店主に威嚇してきます。どうしよう~。
迷いましたが、やはりそこに放置はできず、運よく手でキャッチ。
すぐに兄弟のいる巣に戻しましたが、中には入らず。
そのうち、巣のもう1羽も出て来てヒナ2羽が並びました。
かなり頼りないですが、やはり巣立ちの時なんですね。
初めて立った姿を遠くから見ました。
もう人見知りするので、近づくと変なところに飛ぶと困るので。
手でヒナをキャッチしたので、店主の匂いがヒナについちゃった訳ですが・・・。
人間の匂いがつくと子育て放棄という話もウソです。
嗅覚は意外と鈍いんだとか。目と声で認識していますね。
ワヤンがちょうど出勤してきて、屋台でうずくまった話をすると、もう少しだけ飛ぶ力が付くまで、鳥かごで保護しようということになりました。
バリ人はヒナのかわいそうな結末をたくさん知っています。
巣を出て庭にいられると、ぽんちゃんのコントロールがもうできません。野良猫も通るし・・。
動物の扱いが上手いワヤンが二羽のヒナを一回で素手キャッチ。すごい!
彼女の家から持ってきてくれた鳥かごに入れて、今までの巣のところにぶら下げました。
最初、親鳥は困惑した感じでしたが、隙間から餌を与えてくれるので、このままあと数日。
初めて母鳥なしで寝るので、夜は寒くないように布で鳥かごを保護。
ヒヨドリ一家のためにバナナと完熟パパイヤを買いました。
ハラハラしながらの1日で気持ちが疲れました。
7月31日(16日目/生後10日目)
朝一番で鳥かごのカバーをはずしに行くと、なんとヒナ1羽が鳥かごの外にいるではないですか!!
へっ?脱走?確かにワヤンが持って来た鳥かご、作りが頼りなかった。
店主が近づいたので驚いて、お隣さんの電線に止まった!
そしてもう1羽は、想定外の事故死でした。まだ少し温かかった・・(涙)。
ぽんちゃんではありません。誰が悪い訳でもありません。あえて書きませんが、仕方のないことが起こったようです。
短い命でしたが、小さなお墓を作りました。
電線のヒナと飛び方を教える親鳥。
まだ一度も飛んだことがないのに、初飛行がバイク、車など交通量の多い通りを渡るという・・過酷。
親鳥は通りの向こう側の電線でずっと呼んでいます。
行ったり来たり何度も飛び方を見せます。
電線上でも餌を与えます。
大きな鳥がヒナに近づいたら威嚇します。
2時間以上、この状態で動けず。
店主は血圧が上がり、きっと寿命が縮みました。
もう何もできないので祈るのみ。
で、この直後ちょっと台所にお湯を沸かしにいった隙にヒナが消えていました。
即効、外のにぎやか通りに出てみましたが、親鳥の姿もなし。
斜め向かいのヴィラ敷地内の木の方から、親鳥の鳴き声が聴こえてきました。
どうやらあのヒナ、あっちまで飛べたようです!!!
これから少しの間は親鳥と一緒に学ぶそうです。
高いところも、低いところも天敵がたくさんいるので気をつけてね!
ここはカラスがいない分、日本よりはマシなのかな。
水中も同じですが、自然界は厳しい。
空っぽの巣。きれいですね。作ってる時は全く気付きませんでした。
空っぽの巣やヒナが巣立つとあの親鳥たちももう来ないので鳴き声がなくて、巣立ちは喜ばしいですが、反面かなり寂しい・・。
昨夜、ヒヨドリ一家のために買ったバナナと完熟パパイヤ、結局出る幕なしでした。
店主が食べることにします。
メグロヒヨドリ一家、うちで子育てしてくれてありがとう。
必死に子育てする親鳥の姿は本当に美しい。
動物の大半はそうですが、本能的な子育てでものすごい集中力。
余計な雑念が一切ないというか・・・。
コロナ禍を嘆き、グルグル頭を悩ませている店主とは大違い。
感動以上の何か感動を見ることができました。
ヒヨドリの声が外から聴こえてくると、気になって空を見上げてしまうようになってしまいました。
別のつがい?が、忙しそうにどこかへ一直線。
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